【生命保険見直し術】 ②保障額はこう考えましょう!
Aさんが「自分はいくらの保険に入ればいいのか?」と考える時に、「他の人はどの位?」という疑問が湧きました。以下が世間の平均的な保険金額とのことですが・・・。
世帯主の加入保険金額の平均(普通死亡)
生命保険文化センターの調査結果をみると年々、加入金額は減少しています。
平成18年で2,000万円が平均となっていますが、あなたはいくら加入していますか?
またはどれくらい必要と考えていますか?
全生保
| 民間の生命保険 |
郵便局の簡易保険 |
JAの生命共済 |
|
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平成18年 | 2,033万円 | 2,022万円 | 483万円 | 1,740万円 |
平成15年 | 2,322万円 | 2,392万円 | 537万円 | 1,637万円 |
平成12年 | 2,524万円 | 2,561万円 | 548万円 | 1,631万円 |
平成9年 | 2,732万円 | 2,791万円 | 587万円 | 1,623万円 |
平成6年 | 2,681万円 | 2,755万円 | 559万円 | 1,516万円 |
平均的な保険金額には意味がない!
世間の平均値をものさしにして自分の保険金額がどうか?と判断することはできません。
たとえば、収入が同じの同期入社のサラリーマンでも、子供の年齢も同じだからといって、保障額も同じになる訳ではありません。配偶者の収入や子供の教育方針、持家か賃貸住宅か?さらには、万が一の場合、実家に帰って子育ての援助をうけれるのか?などによって、必要な保障額は大きく異なります。
保障額を考えるにおいて、「これが正解!」というものはありません。
「このように考えれるべきではないでしょうか?」という、『理論的な考え方』が大切です。
毎月の支出をベースに考えることが大切
サラリーマンの家庭であれば毎月の支出はある程度決まっています。
その中から、夫が「万が一」の場合に不要となる支出を除けば、現在の生活レベルをほぼ、維持するために必要な毎月の金額が算出されます。
Aさんの家計を分析してみましょう。
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【試算条件】 |
⑥⑨は不要な項目となるため0としました。 |
Aさんの家庭に必要な毎月の生活費の金額が161,600円ということは、年間に換算すると、1,939,200円となりますので、便宜上200万と仮定しました。
公的な給付(遺族厚生年金など)を考慮する。
サラリーマン(厚生年金)や自営業者(国民年金)は定められた期間※1保険料を納めていれば遺族年金を受け取ることができます。(下表参照)
平成20年度 |
サラリーマン (厚生年金) |
自営業者 (国民年金) |
---|---|---|
子※2のある妻 | 遺族厚生年金※3 + 遺族基礎年金 (792,000円) + 子の加算 (第1子・第2子 各227,900円) (第3子以降 各75,900円) |
遺族基礎年金 (792,000円) + 子の加算 (第1子・第2子 各227,900円) (第3子以降 各75,900円) |
子※2のない妻 | 遺族厚生年金 | なし |
子のない 中高齢の妻 |
遺族厚生年金 + (中高齢の加算)※4 |
なし |
※1 | 保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が年金加入期間の3分の2以上あること。 |
※2 | 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子。 |
※3 | 遺族厚生年金の計算式 (平均標準報酬月額×7.5÷1000×平成15年3月までの被保険者被保険者期間の月数
+ |
※4 | 次のいずれかに該当する妻が受ける遺族厚生年金には、40歳から65歳になるまでの間、594,200円(年額)が加算されます。65歳到達後は、「経過的寡婦加算」に代わります。 |
遺族年金・厚生年金に関する情報はこちらをご参照ください:社会保険庁のホームページ
サラリーマンで子供のいる家庭は手厚い公的な給付がある
Aさんの世帯は、8歳の子供がいますので、この子が18歳になるまでの10年間は、遺族基礎年金と子の加算で、1,019,900円が支給されます。さらに、サラリーマン世帯の場合には、遺族厚生年金が支給されます。
35歳でH15/3までの平均標準報酬月額を18万円(84か月)、H15/4以降の平均標準報酬額を30万円(216か月)として計算すると、371,000円となります。
合計すると、公的な保険から約140万円/年の支給を受けることができます。
3,000万の保障があれば
したがって、Aさんの遺族に必要な年間生活費は200万-140万=60万円となります。この60万円を妻の老齢年金が支給される65歳まで35年間用意するとなると、2,100万円です。ただし、子供の進学費用を加味すると、約3,000万円あれば、今の生活が維持できる計算になります。(ただし、ボーナスは加味していないので、ボーナスがある場合は使えるお金は減少します)
ただし、子供が18歳になると
実際には、子供が18歳になると遺族厚生年金+子の加算が、打ち切られますので1,019,900円は、少なくなりますが、代わりに「中高齢の加算」(594,200円)が加算されますので、実質の目減りは、425,700円です。月額換算すると、35,000円程度なので、残された妻がパート等にでれば、カバーできる金額となります。
必要な保障額は年々減少する!
ここで、お気づきの方もいるかも知れませんが、毎月の生活費をベースに考えるということは、「無事に何事もなく過ごしていけば、保障額は毎年下がる」ということです。
つまり、現時点において必要な保障額が最も高く、右肩下がりに下がっていくのです。このモデルケースでは、いつまでも、3千万円の保障額を続ける必要はないのかもしれません!